— Delirious New York Diary

中央アジア探訪 1.キルギスタン

現在進行中のプロジェクト敷地があるキルギスタン、タジキスタンの二つの国を今回初めて訪問した。第一回目は敷地のあるキルギスタン東部の小さな町、Naryn市について紹介する。

キルギスタンはカザフスタンの南方に位置し、中国と国境を接する国である。今回訪れたプロジェクト敷地の一つNaryn市はキルギスタンの主な河川であるNaryn河に面した人工3万人の中部の都市で、北部の首都ビシュケクからは車もしくはヘリコプターなどで国土中央の山脈を越えてようやくたどり着ける。6000m,7000mを超える山々がそびえ、東には天山山脈が中国へと続いていく。高山と、高原の国だ。



まずはその山々の連なりに圧倒される。往きはヘリコプターにてこれらの山脈を超えた。雪を頂いた高峰と、過去永きに渡って繰り返されてきた地球の息吹を感じさせる痕跡の数々は、地球という物が未だ人を寄せ付けない、人知を超えた存在であることを突き付ける。息をのみつつ、この小さなヘリの窓の外を眺め続けた。


様々な顔を見せる地表の文様。自然の作り出す無作為の、無償の造形美。


プロジェクトの敷地に赴くと、前方に赤い岩の山が迫る。その前にはNaryn河が高山からの水をたたえて滔々と流れる。水は澄んでいるのだけれども、氷河の氷を思わせるかの様に、エメラルドグリーンをしている。

振り返ると、今度は別の砂に覆われた岩山が平原に迫る。

町で一つ驚いたのは木々の多さだ。これは旅の途中常にそうだったのだが、人々の暮らす場所には必ず木々が道沿いのみならず植えられ、特に多く見られたポプラの並木が美しかった。砂の山肌に対して、紅葉した木々が美しく映える。


町中にも牛やラバが悠々と歩いている。ソ連が去った90年代は中央アジアにとって失われた10年であったと人々は口にするが、ようやく自立しはじめた国の未来を象徴するかの様に若い人が多く、その言葉と顔は希望に満ちていた。社会も人々の暮らし方も変わりゆくことを自覚しながら、それでも彼らは雄大な自然の中で太古の昔より続く生き方を切り捨てるのではなく、受け入れる方法を自然に見つけ出している。広大な自然と、その中にぽつんと見えるかのような人々や牛たちが、どうしてこれほどまでにとけ込んでいるのか。

町にはモンゴル系の顔立ちの人々が多くを占める。親近感を覚えるのか、屈託ない顔を見せてくれた。



この敷地だけではないのだが、古代に岩に刻まれたとされる絵が地表にまるで無造作に点在している。底に刻まれた放牧の牛や馬や羊やヤギの姿は、昔も今も変わらないこの土地の人々の暮らしを思わせる。


それでも巨大な岩山の前で自らの小ささを感じてしまうのは、経済的な豊かさに慣れ、都市という人工的な巨岩の中に暮らす我々の業なのだろうか。

次回はタジキスタン訪問をお伝えする。

4 comments
  1. ひつじ says: 11月 9, 20069:36 AM

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    お待ちしてました!笑
    キルギスタン、もちろん自分は行ったこともない土地ですが、なぜでしょう、写真を見ているととても懐かしいものを感じます。(山育ちだからでしょうか)日本とは全く違う山、違う土、違う動植物。でもそこに漂う空気は何か似たものがあったのではないでしょうか?金銭ではない、時間の裕福さをなんとなく感じます。

  2. ks530 says: 11月 10, 20061:24 AM

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    日本人のルーツというのはモンゴル系であったり東南アジア系だったりするといいますね。司馬遼太郎の影響が強いとは思いますが、シルクロードやモンゴルの平原という言葉を聞くだけでノスタルジーを感じるのは、やはり日本人の中にそういった血が流れているからかもしれません。僕もそういった感慨をぬぐい去ることが終始出来なかったです。それでも、ラバに横座りに乗った少年が羊を追っているのを見たりすると、なんだか懐かしいというかうれしいというか、ひどく胸がいっぱいになり涙が出そうで仕方がなかった。
    子供たちの写真で気付くと思いますが、なんだか昔のガキども、って感じがしませんか?賢そうだけれどすれていない、なんだかこち亀あたりに出てきそうな、両さんの子供の頃のような。。。

  3. ひつじ says: 11月 11, 20065:01 PM

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    「両さんの子供の頃」というのは素晴らしく明快かつ分かりやすい表現ですね。笑
    彼らの真っすぐな笑顔を見ていると、それをともて羨ましく感じます。「今」という瞬間を100%で楽しんで、でもそれがとても当たり前のように自然で。。。そんな遠くない昔、自分もそんなだったかなぁ、と考えると奇妙な感じです。なぜ今現代人はこんなに何不自由ない便利で守られた環境にいるにもかかわらず満たされていないのか不思議ですね、彼らの生活の方がよっぽど過酷で不安定なのに。現代人は何を過去に置き忘れてきてしまったのでしょうね。。。無性に缶蹴りがしたくなりました。(突然)

  4. 亜細亜ジア says: 3月 19, 200712:52 PM

    【中央アジア】について

    中央アジア中央アジア(ちゅうおうアジア)はアジアの中央部にあたる地域を指す言葉である。カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの各国を含む地域。アフガニスタン、中華人民共和国|中国(新疆ウイグル自治区、チベット自治区|西蔵

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