— Delirious New York Diary

Iron Ageの落し子~Queensboro Bridge~

ニューヨークの建設ラッシュは、鉄の時代の幕開けとともに始まった。

鉄鋼業は新しい時代を「建設」する代名詞となり、産業革命とその結果もたらされる文明の開花を支える役割を担っていった。高層ビルがユートピア都市の象徴とするならば、鉄によってもたらされた都市の基盤たる鉄道や鉄橋は影の立役者として人々を運び、都市へ流入する人々をささえてきたのだ。

イーストリバーに架かるQueensboro Bridgeは、1909年に幾多の紆余曲折を経て完成した。1881に近代的鉄橋の設計計画が持ちあがってから30年近くを要したことになる。設計・建設を担当していたManhattan Bridge Companyが倒産したり、それによってロードアイランド鉄道の鉄橋利用をあきらめるよう余儀なくされるなど、同時期に完成したManhattan Bridgeや、完成当時最高の技術を盛り込んだBrooklyn Bridgeと比較すると最終的に最も計画縮小された、地味なものとなってしまった。

Queensboro1 Iron Ageの落し子~Queensboro Bridge~

たしかに吊り橋構造を利用し、ゴシック風の重厚な外観とケーブルの美しいBrooklyn Bridge, そのBrooklyn Bridgeを鉄によって表現し直したかのようなManhattan Bridgeとは見た目も構造もかなり異なっている。Queensboro Bridgeは吊り橋構造を用いず、鉄橋として精巧な設計を余儀なくされたために、橋梁の陥落事故など、50人もの人命が失われた難関工事で、その繊細で女性的な外観の裏には多くの犠牲が払われている。

 

イーストリバーに浮かぶルーズベルトアイランドをまたぐQueensboro Bridgeのすぐ横を、Trumway(ロープウェー)がマンハッタンとルーズベルトアイランドを結ぶ交通手段として通っている。マンハッタンを空中散歩でき、Queensboro Bridgeを間近に見ることの出来るトラムは隠れた観光スポットだ。鉄構造の間から垣間見えるManhattanが、ノスタルジックに見えてくる。

Queensboro3 Iron Ageの落し子~Queensboro Bridge~

Queensboro4 Iron Ageの落し子~Queensboro Bridge~

マンハッタンのイメージを強調しているのは両サイドを流れる「川」ではないだろうか。高層ビルが建ち並び空を目指すその姿を川の対岸から眺める時、多くの人にとってその不思議な距離感がマンハッタンに対する自分の距離感であるように感じる気がするのだ。以前対岸のニュージャージーにすんでいた頃、冬の朝ハドソンリバーから立ち上る川霧に霞み、遠くにぼんやり浮かんでいる蜃気楼のようなマンハッタンを見ながら駅に向かった。マンハッタンは、そうやって象徴として多くの人々の心の中にとどまっているのだろう。
だからこそ、その川を渡り、マンハッタンに至るという行為そのものにノスタルジーを感ぜずにはいられないのだ。多くの夢や希望を抱えてニューヨークを目指してきた人々の思いが、これらの橋を渡るたびに感じられるからだろう。

Queensboro6 Iron Ageの落し子~Queensboro Bridge~

一度日の傾きかけた頃Manhattan Bridgeを車でわたったことがある。ラッシュアワーでゆっくりと進む車のラジオから、Sarah McLachlanの「Angel」というピアノバラードが流れた。夕日にまぶしいほどにきらめく川の水面を見ながら、その光景にあまりにはまった曲に呆然としたのを思い出す。

3 comments
  1. Carolita says: 5月 26, 200510:06 PM

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    ステキな写真ですね・・・。
    まるでロンドンにあるような橋がNYにもあったなんて知りませんでした。
    橋を架ける側にも、その橋を渡る側にもいろんなドラマがあるものですね。
    サラ・マクラクラン。夕暮れ時にラジオから流れる彼女の歌声はきっと格別だったでしょう?
    この橋を渡りながら聞いたら、どんなに気持ちがいいだろう・・・。
    おかげで明日は一日「Angel」が頭から離れそうにないです(笑)

  2. buranii says: 6月 1, 20059:17 PM

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    この写真いいですね。
    すごい迫力のアングルだけどビルから撮ったのかな?
    しかし「これでもか」ってくらい鉄骨使っていて重厚感がありますね。

  3. ks530 says: 6月 2, 20054:16 PM

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    Carolitaさん:マンハッタンに来る時には必ず橋を渡りますよね。マンハッタンへのゲートとして、トンネルではない「橋」というのがなんだか特別な雰囲気を醸し出している気がします。少し渋滞していて、ゆっくり渡るぐらいがいいですね。そんな時いい曲かなんかがラジオから流れてくると、また格別です。
    buraniiさん:この橋のすぐわきを、ロープウェーが通っています。このロープウェーからの景色は格別で、かくれたおすすめ観光スポットです。

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