— Delirious New York Diary

Iron Ageの夢の跡 ~New Yorkの移民時代から黄金期へ〜

アメリカが「自由の国」と謳われた時代は、ニューヨークという鉄と移民と高層ビルの「都市」に結実したと言ってもいい。それほど、ニューヨークは「近代」の都市として完結している。アメリカの一都市というのではなく、世界の一都市、一個の独立した存在だ。

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エンパイアステートビル エントランス

アメリカにおいて鉄の時代は、貧しく未熟ながら新たな時代への希望に満ちた、若くとも最も精神的に豊かな時ではなかったか。ニューヨークの摩天楼はその希望が形となって立ち上がっていった姿なのだ。疲弊したヨーロッパの人々を移民として受け入れることで、混沌とした中にも新たな別天地としての発展著しかったニューヨークは、そのエネルギーを空へと拡大し摩天楼を築き、アメリカ中に散ってゆく軌跡として鉄道を延ばしていった。それは富の集約された結果としてだけではなく、数知れぬ名も無き人々の積み重ねていった人生の結晶でもある。

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ニューヨークライフビル

20世紀初頭に興った”アール・デコ”は時に美術史にとってはさほど重要でないといった捉え方をされるが、さまざまな神話や宗教の精神的偉大と、人間の肉体的存在とその可能性の讃歌として若きアメリカを彩り、支えた。
Christler Iron Ageの夢の跡 ~New Yorkの移民時代から黄金期へ〜
クライスラービルエントランス

栄え行く産業の代名詞だった鉄も、時代を築く影の立役者だった鉄道も、やがて第一線を追われ静かに役目を終えていく。廃墟としてのわびしさ以上に、その担った役割と人々に与えた希望の姿としてよみがえってくるような場所が、ニューヨークとその周囲のそこかしこに残されている。
20050528103314 Iron Ageの夢の跡 ~New Yorkの移民時代から黄金期へ〜
リバティーステート島 旧鉄道駅舎 エリス島で移民として受け入れられた人々がこの駅からアメリカ中に旅立っていった

20050528121022 Iron Ageの夢の跡 ~New Yorkの移民時代から黄金期へ〜

そして、次第に富の集積としての姿と土地効率利用に限定されていった高層ビルは、9/11という日を迎えることになる。どこかで失っていった、歴史を積み重ねていくことの地道で謙虚な歩みと、精神的な豊かさとそれを支える力強い希望。テロが肯定されることは絶対にあり得ないとしても、グラウンド・ゼロに残された鉄の十字架はさまざまな何かを静かに、しかし強く訴えかける。

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